【読書日記 No.2】 道をひらく
【読書日記 No.2】
松下幸之助 著 道をひらく
本が本なだけに、ちょっと硬い文体で感想。
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この本は、前からずっと読みたいと思っていたのだけれど、なかなか時間がなくて読まずにいた。
松下幸之助は、言わずと知れた戦後の大経営者。
本書は、初版 1968年。
僕なんかは、生まれてもいない時代。
この本を手に取ったきっかけは、名著だということは知っていたのに加えてカバーデザインがちょっとポップな感じだったから。
読了して、思ったことは
単なるビジネス・ハウツー本の類ではなく、もはや道徳の教科書に分類してもいい本だと感じた。
もう、全章にわたって含蓄のある至言ばかりだけども、
僭越ながら、以下、個人的に印象深かった部分を要約・列挙する。
働き方のくふう の章
「額に汗するばかりではなく、1時間少なく働いて今以上の成果を上げて楽をしろ」
→2020年でこそ働き方改革が声高に叫ばれている。1968年なんて高度経済成長のど真ん中にあって、汗水たらして働くことが至上という価値観があった時代。この文言は、現代の僕らがまさに取り組まんとしていること。やはり、稀代の経営者が持つ視座ははるか遠い未来を見ていたのだと感じた。
敵に教えられる の章
「人間の情には、己が正義で、相手が不正義という情がある。倒すだけが能ではない。互いに教え教えられつつ、進歩向上する道を進みたいものである。」
→昨今、SNSを見れば論破合戦が多く見受けられる。特に、倒すだけが能ではない。(≒倒した気になっているだけが能ではない。)の部分。これは、まさにその通りだと思った。確かに、他人の意見に隷属することが是ではないし、何事も話し合えば解決できるわけではない。ただ、相手の意見からも学ぶものがあるという視点で物事を見れば、腹も立たないし、その議論から何か建設的発展があるのではと感じた。
本書の根底にあると感じたキーワードがある。
「素直さ」
このキーワードは、多くの章で、(時には)様々な表現方法で記されている。
おそらく松下さん自身が、多くの経営者や従業員を見てきて感じた一人の人間として大切なことが、「素直さを持つ」ことだったのだ。
素直さを持つことは、人間としての成長を促す。
もちろんこのことは頭ではわかっているけれど、大人になるにつれ頑固さが染みついていく。
だからこそ、松下さんは、警告しているのだろう。
素直さ と 思考停止すること は、同義ではない。
僕も自分なりの矜持を持ったうえで、吸収力の高い人間になりたい。